康耀堂美術館では、2011年度より茅野市教育委員会、茅野市中央公民館、尖石縄文考古館と連携し、京都造形
芸術大学及び康耀堂美術館の専門性を取りいれ、茅野市が掲げる「縄文プロジェクト構想(国宝の土器や土偶を
作りだした縄文の高い精神性を教育へ反映させる)」を軸に、縄文文化と芸術への関心を高めてもらうことを目的
とし、茅野市内の児童生徒・教育関係者・保護者を対象に「縄文と今をArtでつなぐ体験授業(=縄文アート)」を
毎年開催しています。

2019年度の縄文アート −縄文と今をArtでつなぐ体験授業『わたしの祈願文様を染めよう!』

■開催日と場所/7月29日(月) 尖石縄文考古館

■授業内容/午前:「鑑賞のコツ」「土器のみかたと文様について」
      午後:ワークショップ「わたしの祈願文様を染めよう!」

■参加者/21名(小学生13名、中学生1名、保護者5名、教職員2名)


○「鑑賞のコツ」
 講師/康耀堂美術館学芸員 両角綾佳さん
 
 「鑑賞のコツ」を教えてくれたのは、康耀堂美術館学芸員の両角綾佳さん。
 両角さんは「鑑賞とは何か」を深く考えるために、「鑑賞」と「観賞」の違いに触れ、ぬきうち漢字テストを交えて、
 それぞれの意味を確認・理解するところからはじめてくれました。

 「鑑賞」・・・芸術作品などを見たり聞いたり読んだりして、自分の立場から深く味わい、その良さを理解すること。
 「観賞」・・・自然に存在する風景や動植物などを見て、その美しさを楽しむこと。

 普段から使っている言葉なのに、改まって意味を聞かれると難しいものですよね。
 それぞれの意味が理解できたところで、両角さんは「対話型鑑賞」という鑑賞方法があること、そして作品をみるとき
 の4つのコツ(みる、考える、話す、聴く)について詳しく教えてくれました。
 
  


○「土器のみかたと文様について」
 講師/尖石縄文考古館 守矢昌文館長

 「土器のみかたと文様について」教えてくれたのは、尖石縄文考古館の守矢昌文館長。
 土器のみかたでは、丁寧に取り扱い方法を教えてくださり、今年もホンモノの土器に触らせてもらいました。
 参加者たちは、作品を傷つけないように注意しながら観察をしましたが、途中で「思っていたよりも軽い」という
 感想が出ていました。

 ホンモノの土器に触らせていただいたからこそ、「思っていたよりも軽い」ということが分かり、この貴重な体験
 を通して、見た目だけでは「分からないことがある」ということを学びました。

 文様のお話の中では、「地域や時代で流行があること」「同じ文様は一つとしてないこと」「物語やストーリー性
 があること」などを教えていただき、縄文時代の人々が文様にどのような想いや祈りを込めていたのか・・・という
 ことに思いを巡らせました。

  


 両角さんと守矢館長のレクチャーが終わると、展示作品の鑑賞→各自お気に入りの文様を探す→3つのグループ
 に分かれて相互紹介→講師・河野先生からワークショップの説明→各グループで展示作品の再鑑賞をしました。

  

午前中の授業はここまで。

昼食が終わると、午後の授業がはじまりました。


○ワークショップ「わたしの祈願文様を染めよう!」
 講師/京都造形芸術大学 美術工芸学科 河野愛先生
 アシスタント/京都造形芸術大学 美術工芸学科 4年生 長田さんと本田さん

 縄文土器をじっくり観察してみましょう。
 縄文土器の多くには、ぐるりと不思議な文様が、繰り返しほどこされていることに気がつきます。それらの文様
 には、「縄文」に生きた人々の祈りや願いが込められているそうです。
 新しい「令和」という時代を生きるみなさんと一緒に、祈りの文様を、布の上に繰り返し染めてみたいと思います。

 ワークショップは、15cm角の渋紙(※)に自分の祈りや願いを抽象化してデザインを起こし、はさみで切りとり、
 祈願文様の型紙を作るところからはじまりました。

 ※渋紙とは、はり重ねた和紙に柿渋を塗って乾かしたもの。
   防寒・防水の衣類や部屋の敷物、荷物の包装などに用いられる。

 型紙ができたら、布の上に乗せて、すりこみ刷毛で顔料を乗せていきました。
 みんな真剣な表情で制作を進め、今年も素敵な作品が完成しました!!!

  

  


○「過去の縄文アートについて」
 2017年の授業風景⇒ 『土器、ドキドキ!縄文探検隊!!』
 2018年の授業風景⇒ 『縄文国の国旗をつくろう!』



○「縄文アート作品展について」
 縄文アートの授業で制作した作品は、康耀堂美術館と茅野市中央公民館にて展示を行いますので、
 是非ご家族やお友達と一緒にお出掛けください。

 ■康耀堂美術館 ※本会場での展示は終了しました。
  展示期間/8/1(木)〜8/16(金)まで

 ■茅野市中央公館
  展示期間/9/7(土)〜9/16(月・祝)まで

 ■茅野市芸術祭
  展示期間/10/26(土)〜10/30(木)まで

 ※本作品展は無料でご覧いただけます。ただし、康耀堂美術館での夏のコレクション展『涼を求めて』
  をご覧いただく場合は、別途入館料が必要です。

 


○「次年度の体験授業開催について」
 体験授業は、来年も開催する予定です。
 茅野市教育委員会、茅野市中央公民館、尖石縄文考古館との連携を深め、参加者のみなさんと一緒に、
 楽しみながら学べる授業を企画していきます。授業の様子は、当館ホームページやブログでもお知らせ
 します。


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