康耀堂美術館では、2011年度より茅野市教育委員会、茅野市公民館、尖石縄文考古館と連携し、京都造形芸術大学及び康耀堂美術館の専門性を取りいれ、茅野市が掲げる「縄文プロジェクト構想(国宝の土器や土偶を作りだした縄文の高い精神性を教育へ反映させる)」を軸に、縄文文化と芸術への関心を高めてもらうことを目的とし、茅野市内の児童生徒・教育関係者・保護者を対象に「縄文と今をArtでつなぐ体験授業(=縄文アート)」を毎年開催しています。

今年の体験授業は、5月14日(日)に 縄文アート 「土器、ドキドキ!縄文探検隊!!2017」が、尖石縄文考古館で開催されました。
授業内容は「対話型鑑賞とスケッチ」。

講師は、尖石縄文考古館の守矢昌文館長、本学美術工芸学科の森本玄教授、康耀堂美術館学芸員の梅木さん。
参加者(小学生5名、中学生8名、保護者4名、教職員8名の計25名)は、3名の講師から「鑑賞のコツ」「土器鑑賞のコツ」「スケッチのコツ」を教えてもらいました。


○「鑑賞のコツ」
「鑑賞のコツ」を教えてくれたのは、康耀堂美術館学芸員の梅木さん。
梅木さんから、みんなで作品を鑑賞するときの4つのコツ(みる、考える、話す、聴く)を教えてもらいました。梅木さんは、参加者との対話を大切にしながら授業を進め、クイズ形式で進んでいく場面もあり、とても和やかな雰囲気でみんな楽しそうでした。

  


○「土器鑑賞のコツ」
「土器鑑賞のコツ」を教えてくれたのは、尖石縄文考古館の守矢館長。
今年もホンモノの土器を用意してくださっていて、参加者全員が交代でホンモノの土器をみて、実際に触らせてもらいながら、土器鑑賞のコツを丁寧に詳しく教えてもらいました。参加者の中には、「いつもはケースに入れられているけど、今日は特別に触らせてもらえてよかった」という感想を言ってくれた児童もいて、とても貴重な経験をさせていただきました。
みんなが交代で土器に触れている間、守矢館長は優しく微笑みながらその様子を見守ってくれていましたが、じつは内心「ドキドキ!」していたかもしれませんね・・・。(笑)

  


「鑑賞のコツ」と「土器鑑賞のコツ」を教えてもらった参加者たちは、縄文探検隊となってオススメ土器を探すべく探検に出発!!
探検先は展示室4部屋。4部屋を自由に行き来して作品をみてまわり、たくさんの作品の中から各自オススメ土器を1つ選び、3つのグループに分かれて土器を選んだ理由や土器をみたときの感想などを発表しあう相互紹介を行ってから、仲間のオススメ土器をみに行く新たな探検に出発しました。
オススメ土器の相互紹介と仲間と一緒に再鑑賞を行ったことで、1人で鑑賞したときには気付けなかったことに気付き、作品に対する情報量が1人分から仲間の人数分へ増やすことができました。また、仲間とワイワイ対話を楽しみながら鑑賞するので、1つの作品の前に立ち止まる時間が長くなります。

みなさんは、「美術館や博物館でお客様がひとつの作品をみるのに、どのくらい時間をかけていると思いますか?」
じつは、10秒くらいしかみていない・・・という統計があるそうです。
かなり短い時間ですよね。

ここまでの授業をとおして、参加者たちは「みんなで鑑賞すると楽しくて、5分でも10分でもひとつの作品をみることができた」ということを意識せずに体験し、軽く「10秒の壁」を破ってしまいました。すごいことですね!!

午前中の授業はここまで。
お昼を挟んで、午後の授業は「スケッチ」と「スケッチの相互鑑賞」です。


○「スケッチのコツ」
「スケッチのコツ」を教えてくれたのは、本学美術工芸学科の教授で画家でもある森本玄先生。
スケッチは、イメージを大切にしながら線をひくこと。思っていた線と違っても、上から重ねて描いていいこと。細かいところを全て描こうとしなくてもいいことなどを教えてくれました。森本先生は、最後に「絵は上手い下手じゃないんだよ」「自分の描きたいものが、自分らしく描かれていればいいんだよ」ということを優しくお話してくださいました。
森本先生のお話が終わると、オススメ土器のスケッチがはじまりました。

みんな、普段から絵を描き慣れているのか、サラサラと鉛筆を走らせて、真剣なまなざしで土器を見つめ、スケッチに没頭していました。スケッチが完成すると、自分がスケッチした作品を展示されている土器の前に置いて、相互鑑賞を行いました。みんな、3名の講師から教えてもらった「コツ」をフルに活用して、「細かい部分までじっくり丁寧に鑑賞してから描いた」ということが一目で分かるような完成度になっていました。

  

  

  


○「スケッチ作品展について」 ※本展示は終了しました。
体験授業でスケッチした作品は、5/17(水)〜6/18(日)まで康耀堂美術館の回廊Aで展示を行っています。
スケッチの展示会は無料でご覧いただけますので、是非ご家族やご友人と一緒にご来館ください。
※春のコレクション展『みんなが恋した作品展』をご覧いただく場合は、入館料が必要です。
なお、康耀堂美術館での展示終了後は、茅野市公民館にて展示を行います。日程は、6/28(水)〜7/12(水)です。

 


○「次年度の体験授業開催について」
体験授業は、来年も開催する予定です。
茅野市教育委員会、茅野市公民館、尖石縄文考古館との連携を深め、参加者のみなさんと一緒に、楽しみながら学べる授業を企画していきたいと思っています。来年の開催日が決定したら、当館ホームページやブログでもお知らせしますので、たくさんの方々のご参加をお待ちしています。



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